Japanese Wrangler!!
アメリカで産声を上げたラングラーが日本に正式上陸したのは1971年の事。
ラングラージャパンはVAN-ジャケットが40%、三菱商事30%、東洋紡績30%の出資でスタートし、東洋紡績がデニム生地の開発・生産を行いVANが企画・営業すると云う異例の形態を取り国内では後発のジーンズメーカーではあったが創業三年でビッグジョンら当時の国内大手に肩を並べるほどに成長する。
その宣伝形態、商品構成はそれ故に本家アメリカにおける純粋なウエスタン・ラインとは異なり、アウトドア、スポーツカジュアルと云ったアメリカの一般的なジーンズライフをイメージしたものであった。
当時用いられたキャッチフレーズは「WIND FROM COTTONFIELD」「TAKE ME TO WRANGLER」「JEANING OF YOUR LIFE」など。
ジーンズのみならず(今では当り前、あるいはよく知られている)明るく健康的なアメリカの文化やジーンズのみならずファッショライフ全般の紹介と普及を商品を通して提唱し成功を納めた。
その手法や思想はVANに通じるもので70年代の日本ではもっとも求められていたやり方であっただろう。
だがそれ故に商品は国産デニム生地を用いた日本オリジナルのラングラーで前記したようにアメリカの商品構成とは大きく異なるものになってしまいその傾向は現在にも影響している。
(約30年間のラングラージャパン時代、商品の大半は国産、日本企画であったが幾度かアメリカ本国の商品を輸入販売していた時期もある。)
レディース部門に関してはラングラーギャルズをスタートし当時、本格的な女性用ジーンズが少なかった時代にその普及に大きく貢献した。
(一般に流布していたギャルと云う言葉はここから始まったがラングラージャパンが意図した意味合いは全く異なり、精神的にも自立した大人の女性のファッション・ライフの手助けをするのがラングラーギャルズであったらしい)
*1970年代、ラングラージャパンが発行していたラングラーヴォイス。
A3サイズの新聞風の作りで自社製品の宣伝のみならず多くのアメリカ文化を紹介していた。
発行人の個所にはVANから出向し当時、常務であった石津祐介氏の名前を確認出来る。
フランチャイズショップを展開し数多くのノベルティも持いた戦略は正にVANの手法だ、ラングラーネームの紙袋も宣伝の写真から確認出来る。



80年代の入るとニューヨークスリムに代表されるラインでスリムカット、洗い加工と云う時代の要望に素早く応えながらも、同時進行で80年代半ばには他社よりもいち早くヴィンテージの復刻に着手した。
(ただし当時の復刻11MW、11MJはオリジナルとはかなり異なり復刻としてはレベルも低く不完全なものであった。
ラングラージャパンの復刻商品はその後、過去の復刻を否定する形で、新ラインでよりヴィンテージに忠実になってゆく、その為、同一品番でも生産時期により全く異なる場合もある。)

90年代に入るとギャルズからレディーラングラーに名称変更されるがメンズは日本固有のオーセンティックなラインを維持しながらも、 ステュディオ・ダルチザンの田垣繁晴氏をデザイナーに迎え、アンティーク・ラングラーシリーズと呼ばれる新たなるヴィンテージ復刻シリーズを展開し、アメリカではブランド休止中のマーベリックも復活させた。
その後、更により時代考証に忠実な本格復刻路線であるアーカイブ・ブルーベル・シリーズを展開する。
更にアメリカ本国でラングラーブランドを所有するVFグループと結びつきを強くしVFジャパンと社名を変更するも、その後、解散する。
(田垣氏プロデュースのアンティーク・ラングラーはタガキ・ラングラーとも呼ばれレプリカファンからも注目を集めるが宣伝とは異なり実際には時代考証無視の破天荒なオリジナルデザインの疑似復刻シリーズでユーザーの評価を二分させる。アーカイブは本当の意味でのヴィンテージ復刻の幕開けであった。)
*80年代のカタログから〜初期の復刻モデル。  *90年代のカタログから〜タガキ・ラングラーら。



21世紀に入ると、冷え切ったジーンズ市場と云う逆風の中、VFジャパンから権利を引き継いだリージャパン(エドウィン傘下)が企画生産する新生ラングラーはUSオリジナル、アーカイブ等、新しいジャパン・ラングラーの商品を展開し再びラングラーに多くのデニム愛好家の注目を集めることになる。
Wrangler Jeans (WranglerJpan/VF-Japan/LeeJapan)
ヴィンテージの復刻モデルを中心に日本国内で企画生産販売されていた11MWZ、13MWZ、77MWZ、22 MWZ等を紹介しています。
Wrangler Jacket (WranglerJpan/VF-Japan/LeeJapan)
ヴィンテージの復刻モデルを中心に歴代のデニムジャケットをメインに紹介しています。
11MJ、111MJ、11MJZ、12MJZ等。
Wrangler Shirt(WranglerJpan/VF-Japan/LeeJapan)
ヴィンテージの復刻モデルを中心に歴代のウエスタンシャツをメインに紹介しています。
27MW、29MW等。
Wrangler etc(WranglerJpan/VF-Japan/LeeJapan)
ノベルティグッズ、Tシャツ等ジーンズやウエスタンウエア以外のアイテムを紹介しています。
◆日本におけるラングラー年表〜
1971年
     10月4日、VAN-ジャケットが40%、三菱商事30%、東洋紡績30%の出資でラングラージャパン設立。
1973年
     Wrangler Gals(ラングラーギャルズ)をスタート。
     漂白加工を施したブリーチアウト・デニムを日本で最初に採用し大流行する。
1974年
     ラングラージャパン設立三年目で売上高110億円と云う快挙を達成する。
     世界中のラングラーライセンシー商品の中で日本製が最も高い評価を受ける。
1976年
     アメリカ建国200年に合わせてハッピーバースデイアメリカ・キャンペーンを行う。
     GREAT OUTDOORSキャンペーンを行い、ジーンズ+ネルシャツ+ダウンベストのアウトドアスタイルの定着に一役買う。
1979年
     イエスコーデュロイキャンペーン実施、パワーウオッシュ発売開始。
1990年
     天然藍を採用したデニム製品を販売。
1991年
     アンティーク・ラングラーのシリーズで復刻デニム類を販売。
1997年
     ラングラーブランド50周年記念のジーンズ等を販売。
     アーカイブ・ブルーベル・シリーズで11MW、11MJを復刻する。
1999年
     VFジャパンに社名変更。
2000年
     VFジャパン解散、以後リージャパン(エドウィン傘下)が日本正規代理店となる。



*”ヴィンテージ・レプリカ”等のラングラーレプリカ及び、デザインを模倣したラングラータイプのジーンズ、ジャケット類は、別ページに掲載してあります。
『Replica of Vintage Clothing』のコンテッツを参照。
*参考文献
潟宴塔Oラージャパン 発行カタログ類以下
ラングラーヴォイス(1970年代)
ブルーブック(1980〜1990年代)
ラングラースタイルブック(1990年代)

ヒストリー日本のジーンズ 日本繊維新聞社発行
ジーンズスタイルブック 笠倉出版社
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