ライナーは防寒性の高いリサイクルウールを採用している。
スタイルは横幅にややゆとりがありアームは太目で身動きの自由度が高いワークウエアらしいものだ。
それ故にウエスタンウエアであるラングラー、マーベリックとは異なる。
袖口はボタン留め。
両腰のウエスト調整パーツはアジャスターストラップ。
同じメーカー製造でも用途が異なるジャケットだと当然、G−ジャン類とは仕様が異なっている。
ジッパーテープはコットン素材でここにも変化が期待出来る素材だ、だがそれ故に破れる可能性もあるので慎重に扱わないといけない。

胴体と腕の縫い合わせはインターロックで強固に縫い止められている。
只でさえ生地が集中する箇所でライナーも含めるとその厚み故、生地を巻き込んでの二本針ミシンによるチェーンステッチは流石に行われていない。
ここでもシャープな縦落ちを顕示する生地は如何にもワーク系らしい。
ステッチも微妙に色落ちしいている。
全体的に色落ちの出方は見事である。

ライナーモデルではお馴染みの追加の補強ステッチはラングラー同様ちゃんとやられている。
従来のトリプルステッチが三本針ミシンによる整ったトリプルステッチに対して追加で、一本のみ施された本縫いアバウトなラインは手縫いの表情をそのままに表している。
単純だがこういう手間の掛け方は現在では見られない。
ラングラーの母体であったブルーベル社の歴史を語るのはかなり面倒だ。
1904年アメリカ、ノースカロライナ州グリーンボロにC.C.ハドソンが設立したハドソン・オーバーオール・カンパニーがスタートとされている。
1919年にはブルーベル・オーバーオール・カンパニーへと社名を変更する(鉄道員から贈られたベルがブランド名の由来とされる)が、1926年には同業他社であるビッグベン・マニファクチュア社に買収され一旦、その名称は消えるが1930年には社名を何故かブルーベル・オーバーオール・カンパニーへ戻している。
更にその後も、グローブ・シャツ&オーバーオール・カンパニー(1889年設立とブルーベルよりも古参)、ケイシージョーンズ(ラングラーのブランド名をそもそも所有していたメーカー)、レッドキャップ等、多くのメーカーと企業間合併を繰り返した歴史からどこを本質的なスタートにするか難しいところがある。
一般的には企業本体そのものよりもブランド名を重視し、ハドソン・オーバーオール・カンパニーの設立からスタートとされている。
この統廃合の歴史の中、新たに加わったメーカーが所有するブランド名をそのまま継続展開していた関係からブルーベル、ケイシージョーンズ、ビッグベン等は合併後は兄弟ブランドのように商品構成となった。
だが時代の流れがジーンズやデニムそのものがワークウエアではなくカジュアル・ファッションとして認知されだすとメーカー自身がワークブランドではなくカジュアルブランド化し、80年代VFコーポレーションに吸収後は所有するブランドその多くが見られなくなりワークブランドとしての展開はウエスタン・ウエアであるラングラーを除くと事実上休止している。





【購買手記】
これも数年前、ラングラーのブランケット・モデルを同時に買い込んだ時期に購入。
何故かその年はマイサイズで状態&値段申し分ないブランケット・モデルに次々と出会いがあった当たり年でした。
つまりはその年以外はあまり買う機会がなかったのも事実。
地道に足で探した結果ですがヴィンテージの場合そういう偶然は稀にあるのが楽しいところだ。
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