Wrangler 124MJ(1970's)
ラングラー大定番のジャケット124MJの3ポケットタイプ。
111MJに先祖返りしたかのような左胸のみの胸ポケット仕様でフロント部分は全てスナップボタンと云う例外的なモデル。
ジャケット自体は1970年代初等の物で、使われているブロークンデニムは採用したばかりの最初期らしく14oz.PLUS DENIM。
全く色落ちが進行していないが中々の結果を期待できる。
胸ポケット。
基本的に片側しかなかだけで同時代の物と違いはない。

サイレントWはクロスするタイプで綺麗に縫われている。
配置されている位置も比較的、中央なのもこの時期くらいまでか?
縫製に関しては以後かなり雑になるだけに、この後、品質管理に関する基準の変更があったのでは?と推測出来る。

織りネーム。
70年代を象徴する黒地で小ぶりなタイプ。
やや中央に位置がズレているのは単なる個体差によるものだろう。
タグ。
1970〜71年に見られるブロークン時代では最初期のタイプ。
このタグやデニムの生地感からも1971年製造と推測出来る。
尚、襟元に縫い付けれているフック部分のデニム生地は何故か左綾デニムだが、このようなケースは意外と多い。
フロント部分の生地裏。
セルビッジがあるが綾デニムのように生地端が白色ではない。
平ミミでブロークンデニムは基本的にこのような生地端になっている。

裾と袖の帯部分の縫製はラングラーらしい強固なチェーンステッチで施されているが片側のステッチが逃げるような処理はされていない。
腕の付け根。
1970年代の仕様変更で一番目立つ縫製箇所はここ、これまでの生地を折りたたんで強固なダブルステッチを掛けられていたのがインターロック縫製に変更されている。
襟のステッチ。
縫い幅がかなり広くなっている、同時代でも左綾デニムの場合ここまで広くないものが多いがブロークンデニムを採用したモデルでは頻繁に見かける。

サイズ表記はM、インチ表記が主流のラングラーにおいて、それさえも珍しい。

フロントボタンは全てスナップ式なので凸側ボタンが目に入る。
*注
このジャケットに関しての詳細は不明だ。
又、現存数も少ないようで他に見たケースも少ない。
メンズ以外のレディース、キッズ等では独自のデザインを発表していたラングラーではレディース、キッズでこれとほぼ同等の3ポケットやフロント開きもスナップボタンの124MJは存在するがサイズ表記及び実寸からも、それらと違いこのジャケットがメンズなのは確かなだけに謎は深い。


【購買手記】
珍しく数年前にネット通販で購入。
極上のコンディションだがブロークンデニムと云うだけで割りと安く買えた。
さほど古い年代ではないものの本当に珍しいタイプで過去に2回ほどしか見たことがない。
サイズ表記がインチではなくM、L表記なのも謎と云えば謎だ。
同時代である70年代以降、カナダ、コロンビア等で独自のラングラーが生産され、それらのデザイン、素材は微妙に本家アメリカ製モデルと異なる物が多い。
それらの仕様の年代的特徴は「別物」であるだけに同様の基準で判断は出来ない。
中途半端に似ているが違うという、それら米国外ラングラーにも、ほぼ同様のジャケットがあるので、このジャケットのタグ類が欠損していれば、そういった海外モデルかと思ったかもしれない。
だがご覧のようにアメリカ製で同時期の時代考証の基準に合った素材、ディティールなだけに、このデザインは不思議である。
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