Wrangler 124MJ(1970's)
1970年代製造の124MJ。
14オンスのブロークンデニム生地を採用した同時代では超定番的なタイプだ。
124MJは111MJの後継モデルとして60年代半ばに登場以降、80年代半ばに消滅するまで実に20年以上も生産され続けたラングラー史上、最も長期間生産されたロングセラーモデルだ。
その為、他社の模倣モデルも多い。
スタイルは以前のモデルと比べれば、さほどタイトではないが111MJより引き継いだ4ポケット、開閉しやすい袖口と胸ポケットのスナップボタン等、ラングラーらしい伝統のディティールは非常に馴染み易い。
この年代からの変化としてはデニム生地の変更がよく知られているが他に袖と胴体の付け根部分の接合部がダブルステッチからロックミシン縫製に単純化された等、より大量生産に向いた変化箇所も幾つか見る事が出来る。
胸ポケット。
先代より継承したデザイン、ディティールですが70年代全般に云える事だがサイレントWが雑に縫われている。
三箇所のクロスしているポイントのみならず全体のバランスも悪い。

デニム生地は14オンスのブロークンデニム。
『Wrangler350Denim』とフラッシャー等に明記されたデニムで採用初期のブロークンデニムよりは生地に張りと硬さがあり質感は右綾デニムにより近くなっている。
色落ちは染め自体が、やや薄い為か霞んだような青になるケースが多く、このジャケットもそのような色落ちをしている。
縦落ちは70年代ブロークンらしいシャープな縦落ちをするが退色がデニム生地全体に進むと、かなり不鮮明になってしまう。
基本的にワークウエアとして洗い込まれたユーズドだと退色しきって全体的に白っぽくなり縦落ちが不鮮明になっているケースが多いようだ。
サイレントW。
胸ポケットにある伝統の飾りステッチはスパン糸で縫製されているので色抜けやホツレはない。
同時代らしい粗雑な縫製が中途半端なオートメーション化された時代風景を想像させる。

ピースネーム。
リーバイスの赤タグとは違いポケット上のヨーク部分に縫い付けられている。
60年代後半に始めて採用されたのは白地だったが70年代以降は基本的に黒地タイプが採用されている。
黒地が登場したのは1968年から、又は1970年からと云う説がそれぞれあるが70年代以降のボディーに古い白地タグが付けられているケースもある。

ロゴ入りボタン。
ほとんど変化無く継承されている。
70年代までは基本的にロープロゴタイプのみのようだ。
ブランドパッチ。
70年代に突入すると黒タグに一変するがこれはその中でも三代目の1973〜76年に採用されていたタイプ。
太文字のロープロゴで下に生産国表記が入る。



【購買手記】
これも名古屋の古着屋で90年代に購入。
比較的玉数の多いジャケットなので5千円アンダーで売られているケースもザラだが中々マイサイズが見つからず7千円くらいと、やや高めで購入。
このジャケットもウエスタンシャツ127MWと同様にほぼ似たようなデザインで長期間生産されていた為、60〜80年代のモデルが未整理で売られているケースが多く、「60年代にしては安値」「80年代にしては高値」と売られ方、内容は結果として様々だ。
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