OSAGA
オサガは1974年、当時「世界のジョギングの首都」と呼ばれたアメリカ、オレゴン州ユージンに靴の小売店としてスタートし翌年には自社モデルを販売、1976年のランナース・ワールド誌に18位に初登場した。
オレゴンと云えばナイキも既にその地に存在していただけに今となれば意味深い。
70年代のジョギングブームの中、既存のトップブランドと肩を並べる新興ブランドとしてその名を轟かせながもジョギングブームの衰退にあわせるように80年代後半、その姿を消してしまう。
倒産したのではなくAVIAに吸収合併されてしまったが故のブランド活動の終了だった。
現在では忘れさられたブランドだがそれ故にコアなファンも多い。
80年代のオサガのランニングスニーカー、70年代のシャープで実戦的なモデルと比べるとカジュアル色の強い外観だが品質的には目立った進化が見られない。
つまりは本格的なランニングシューズとしては時代遅れになっていると云う事だ。
ナイロンアッパーにフェイクスエードを用いたトップとヒールカウンターでの補強、ありきたりのスポンジ系ソール、それは闇雲に計量化を求めていた時代から優れたクッションとフォールド感が求められる時代へ変化した現実とは無縁な性質だ。
一面に三角形のビットを配置した独自のソールパターンだがオサガの場合、一足のソールデザインにかかる日数は少ない場合、半年で、多い場合は二年も要すると云う。
誕生して即トップブランド入りした実力の一端はこのソールデザインへのこだわりからきたのであろう。
アッパーにはリーバイスの赤タグを思わせる白タグが付属しておりモデル名と思われる文字が確認出来る。
時期によってはブランド名のケースもある。
アッパーサイドにはこの時期オサガのブランドマークでもあるベクトルマークが貼り付けられている。
ユージン市民の一般公募で採用されたマークで1977年より採用されるが80年代の途中から採用されなくなる。
オサガのと云う名前も市民の一般公募と云う程で、ご当地的な存在だったのだろうか。
さてこの通称矢印ロゴですが、このデザイン自体には何の意味もないそうです・・実際この場所にこの形状では実用的な意味も全くないでしょう。
基本的に他社のブランドマークは本来アッパーサイドの補強を目的にしているだけにこれだけ無為なマークにはある種の感動さえ覚える。
シュータンのブランドロゴにはオサガの文字にかぶる斜めカーブのウェイブ・ラインがデザインされている。
これはベクトルマーク以前にアッパーサイドの補強に採用されていたラインを元にしていると思われる。

ブームにより氾濫したブランドが淘汰され市場が安定するのはいつの時代でもそうである。
現存し中には一世紀を越える歴史と伝統を持つスニーカーブランドにも愛着や憧憬を覚えるが滅びの美学的な観点からオサガのように消滅したブランド、現存しても低迷するブランドにも格別な感情を覚えるのも人間の常であろうか。
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