Wrangler 74142NV(1980's)
ラングラーの二大潮流の一つであるジップフライ・デニムジャケットのシリーズはG−ジャンとしては初のジッパー装備モデル11MJZを初にし、その後約30年に渡り引き継がれてきたが80年代にはその幕を閉じる事となる。
これはその最後のモデル、一般的には24MJZの80年代モデルなので同じ品番で呼ばれるが実際のロットナンバーには若干の変更が見られる。
VF編入により消滅する前の最終モデルだけにヴィンテージ類とは時代的な変化が確認出来る。
先ずはフロントのプリーツがなくなり、それを止める丸カンヌキもなく随分とアッサリとした印象を受ける。
同時代の特徴であるロングポイントの襟、クロスしないサイレトW、トリプルステッチ等、更にルーズ気味な未幅は126MJとの違いをより曖昧にさせ70年代以前にあったタイト感が薄れている。
バックスタイルに関して伝統の分割スタイルを継承している。
ブランドタグは同時代最もポピュラーなタイプを採用している。
”NO-FAULT DENIMS”なので当然フラットで生地変化が少なく、ヨークのトリプルステッチも効果を示し、アタリやパッカリングが上手く出ない。
ヴィンテージ愛好家にはマイナスポイントだが、そのような懐古的価値観を生んだのはこのように生地変化を極力抑えるようなデニム製品が次々と開発されそれが普通になった時期があってのこと。
これも過去のある一時代を時代を象徴するデニムには違いはない。
腰のアジャスターは別モデルと共通の仕様でボタン類も定番のパーツだ。
ヨーク部分の大半はダブルステッチからトリプルステッチにシフトしているのが確認出来る、パッカリング防止の為に採用された製法だけにその成果をしっかりと発揮している。
ジッパーはスコービル・ネームのジャケット用の大型のタイプを採用している。
タロン同様あまりスムーズな稼働ではないがそのデザインと質感はアメリカンヴィンテージの匂い漂う魅惑的なパーツだ。
インサイドゴムは脇の下に一応あり、ただし未幅がややルーズなのであまり効果を実感出来ない。
生地裏を見るとブロークンデニムの織り構造が見て取れる、更にトリプルステッチにチェーンステッチのラインもよく分かる。
表側だと中央の一本のみデニムとほぼ同じ紺色のステッチで遠めだと分りづらいが下糸は全て同色でハッキリしている。

この最終モデルを最後に11MJZの系譜は終焉したかに見えたが日本製の復刻シリーズや米国でもデニム製品以外のジャケット類にその血筋を感じる事が出来る。
いつかは完全復活して欲しいジャケットだ。
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