Wrangler 24MJZ(1960's)
ラングラー定番のデニムジャケット二種類の中でジッパーフライ・シリーズの系譜に位置する24MJZ。
1950年代に登場した世界初のジップフライ装備のデニムジャケットである11MJZの後継モデルであり、これは1960年代半ばのタイプ。
登場は品番が11MJZから24MJZに変更した1964〜65年であり、微妙にマイナーチェンジを繰り返しながら1980年代半ばまで継続された為、同一品番での生産時期は124MJと同様にラングラー全体の歴史の中でも長寿モデルとなる。
ただし現在では伝統の系譜もその長い歴史を終えている。
ウエストゴム。
1950年代の後半からラングラーのジャケットは、タイトなジップモデルとややルーズなボタンモデルに二分化される。
11MJZの後継である24MJZも当然その二分化の流れで124MJには見られないディティールが随所にありそれがこのゴムバンドの継続採用だ。
左右3箇所で合計6箇所に配置されており身体に密着するシルエットでありながら着心地の悪さを感じない理由である。
124MJは111MJからのモデルチェンジに際してアクションプリーツ、ゴムバンド、アジャスターストラップ等をあっさり廃止しラングラー固有のデザイン性よりも他社のジャケットに近いイメージがあるが、こちらはそのような事はなくビンテージラングラー特有のディティールを継続している。
フロントジッパー。
スコービル&グリッパーのダブルネームタイプを採用している、
同時代ではタロン社製ジャケット用ジッパーの印象が強いが、このようなジッパーもよく見かける。
アジのある変色しきってしまい画像では文字の判読は難しい。
同じくジッパーテープもコットン素材の為、ナス紺に変色している。

ブランドタグ。
ブルーベル付きでは後期のタイプ。
ブルーベル付きなので1964年以前と思われがちだが実際には1966年くらいまでは頻繁に見られ、それらよりも数年後のボディーでも付いているケースが稀にある。
余剰在庫が大量にあったのだろうか?
胸ポケット。
フラップ部分のペン挿しがセパレート式から切り込み式に変更されている。
1965年以降は標準化されてゆく仕様だ。

縫製糸には、まだ綿糸も使われている。(総綿糸とは限らない)
サイレントWも上手い具合に擦り切れて良い古着のアジを出している。


ポケット上のヨーク部分にピースネームは付かないが、ほとんど同じディティールで付いているものもあり、当時の一貫していないバラバラなパーツ使いがモデルチェンジしたばかりの混乱した状況を想像させる。
*注
1950年代後半から1960年代前半は3ポケットが主流の時代で111MJ系統も11MJZの影響で3ポケットに変更された。
だが1960年代半ば以降は逆転し、4ポケットの時代になる。
この24MJZも11MJZからモデルチェンジの際に右胸にポケットが追加されている。



【購買手記】
珍しくネット販売で購入したビンテージです。
古着屋のネットショップはあまり安くない、と云うのが個人的な感想です。
購入価格は一般的な市場価格よりも、高めで状態も悪いですがマイサイズに巡り合うチャンスと云うのは中々ないので、つい手が出てしまったって感じでした。
手にとって試着して買うのが一番だとは思います。
「高い、高い」とよく陰口を叩かれる名古屋の各ビンテージ系ショップらの方が状態、値段共にかなり良心的です。
そのテの苦情的評価は「他店や別地域と比較をしていない」、「安価なレギュラーしか扱わない古着屋の価格帯とビンテージの価格を同等に比較している」、「他人の情報の思い込み」、「そもそも正確な市場価格を把握していない」と云う理由が考えられ、現実を全く反映していない。
実際、所有しているビンテージデニムのほとんどを地元である愛知県内か隣県のショップで購入しているだけに私的にはそう思います。
過去に東京や大阪に行ってもさほど喜々として買いあさる場面に出くわすケースは稀だった。
ただし地元のショップでのみ買い続けるのにも限界があるのは事実だ、一点物たるビンテージ故にサイズが常に揃っている訳じゃないのでネットショップやオークションの有効活用を否定はしない。
より安くなら個人売買でのネットオークションだろう、ただし逆に本来の価値以上の高額で売買されているケースもあるのであくまでも自己責任でお願いしたい。
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