Wrangler brand beginning!
LEVI'S、Leeと並んで世界のジーンズ三大ブランドと呼ばれるWranglerが誕生したのは1947年の事。
戦前より存在しデニム衣類を販売していたLEVI'S、Leeと比べると第二次世界大戦後に誕生した為、歴史は浅い。
だが、その母体は1897年創業の歴史を持つWorkwearメーカー、BLUE BELL社であり約半世紀近くの間、培われた同社の技術の結晶がWranglerだとも云える。
Prototype11MW(1940's)
1947年に販売された記念すべき最初のジーンズ。
又、ジーンズと云う呼び名も世界で最初に使われたのはこの11MWから。
Prototype11MJ(1940's)
1948年に販売された最初のデニムジャケット。
販売当時、ブランド名はWranglerだがフラッシャー等には複数形のWranglersと明記されていた。
Wranglerの母体であったBLUE BELL社は1904年アメリカ、ノースカロライナ州グリーンズボロでハドソン・オーバーオール・カンパニーとして創業したのが企業のスタートで、1919年に社名を「ブルーベル・オーバーオール・カンパニー」に変える。
19世紀末から20世紀前半にあたる期間に数々の吸収合併を頻繁に繰り返して巨大化したメーカーで、ワークパンツ、チノパン、カバーオール、ワークシャツ等のワークウエアを生産販売しており当然それらの素材にデニム生地の商品も取扱っていたが、今現在ジーンズと呼ばれるデニム衣類を本格的に展開したのはこのラングラーブランドから。

Wranglerがそれまでのジーンズとの違いは「革新的である事」。
それまでWaist overalls(又はWaist overalls、overalls)と呼ばれ作業着でしかなかったデニムパンツに世界で初めて”Jeans”と云う斬新で親しみやすい新しい名前を与え、その名に相応しいシルエット、デザインを持たせた事。
他社が作業着然とした太めでルーズなシルエットに対して人間の身体にフィットしたテイラードスタイルで当時としては腰周り脚共に極めて細く、正に革新的であった。
それを成し得たのはSanforized、防縮加工を施した左綾デニムを採用した為。
戦前から存在し様々な衣類に用いられた防縮加工の技術を活かす事により、織り上げられた縮まないジーンズは、縮みによる型崩れやサイズの変化に惑わされる事が無くより人間の身体にフィットする事を可能にした。
又、翌1948年には世界で初のジッパー装備のJeansを発表する。
これも縮まない生地が為に出来た事である。

11オンスの左綾デニムは生地感もフラットで肌触りも良く、そのスタイル、素材共に以後のジーンズ界に大きな影響を与える。
以後、他社が同様にJeansと云う名称に変更し、防縮加工済デニム生地の採用、スタイルの変化、ジッパー採用等と追従しているのを見ると以下に先を行っていたか分かる。
正に「古くて新しい」がWranglerなのだ。

又、他にも特筆すべき事は、これまでの労働着とは違いターゲットをカウボーイに明確に限定した販売方法にもあるだろう。
1930〜40年代、ハリウッド西部劇の衣裳デザイナーとして知られ、スナップボタン、アローポケットの発案者とも言われる伝説のデザイナーRodeo Ben(本名Benjamin Lichtenstein)をデザイナーに向かい入れて誕生したWranglerは世界初の「デザイナージーンズ」であると同時に「カウボーイ専用ジーンズ」でもあった。
以後、Wranglerはカウボーイ専用としてウエスタンスタイルには欠かせないファションと実用のアイテムとして歩んで行く。



*注
世界初のジッパーフライはLeeだと云う説もあるが現物は確認されていない。

それは軽オンスデニム(10オンス以下)のワークパンツでしかないとも云われている。

ラングラーはサンフォライズされた縮まないジーンズではあるが、古い年代の技術故の未熟さか、やはり洗えば縦方向には若干縮む。

ロデオ・ベンのデデイナー起用は誕生翌年の1948年からと云う説もある。
無論、誕生翌年にデザイナーの名前を単に発表しただけの可能性もある。

プロトタイプ11MW、11MJがロデオ・ベン採用前のモデルと云う説も48年採用説を根拠にしている。

40〜50年代にかけてブルーベル・ネームで販売されていたデニムジャケットでラングラー11MJと類似するデザインが多い。

Wranglerの母体については、複数の企業買収、企業合併の歴史を持っている為、正確にどこがスタートとは云い難い側面もある。
1926年にライバル会社であるビッグベン社に吸収合併されながらも後に社名はBLUE BELLに戻り、1936年にはグローブス・スーベリア社と合併する等、ブランド及び企業の血脈を語るのは非常に難しい。


◆40年代の主な出来事〜
1947年 
      ラングラーブランド・スタート。
      ファーストモデル、11MW販売開始。
1948年 
      ロデオ・ベンをデザイナーに起用。
      飾りステッチにサイレントWを採用。
      ファーストジャケット、11MJ販売開始。
      ギミーブックが取り付けられるようになる。
      ロデオ大会のスポンサーを開始する。
      世界初のジッパーモデル11MWZ販売開始。
1949年
      レディー・ラングラー(ジーニィーズ)販売開始。

      
inserted by FC2 system